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SHAKE & BABY



 

アーチスト:世田谷ボーイズ
品番:KRCL-102 税抜定価:2400円 発売日:2007/4/21
ジャンル:Rock,Pop

曲目
01.
02.
03.
04.
05.
06.
07.

制服ガール
歌うは君の波
春だけの花
とっぽい男のブルース
あばよ青春
SHAKE IT UP, BABY
SHAKE DYNAMITE
     〜俺たちに足はある〜

08.
09.
10.
11.
12.
13.
14.

のんきもん
あの夏に願い事
タイム・マシーン
マジックプライス
O.P.E.N.
秋だったね
お前LOVE

解説

「枠に収まらない世界観」
  〜本当の意味での統一感とはなにか?〜

 世田谷ボーイズって、このベタな名前。最初にデモが送られてきた時にはビックリした。安直なのか、それとも策略なのか。バンド名というものに意味を込める必要はあるのだろうか? 名前なんて才能を区別するための単なる記号にすぎないというのは、それもあまりに陳腐化したかつての記号論にすぎない。国民総背番号制のごとき考えに無批判に遜るのがロックなのかというとそうではないように、個性を主張する若き音楽集団なら、やはりその名前にも主張が込められているはずなのだ。
 翻って、私がかつてやっていて、キラキラレコードを起こした直接のきっかけともなったのがFashion Band Memeというバンド。僕らは誰一人としてファッショナブルではなかったし、バンドっぽくもなかったし、ましてやメメなどでは決してなかった。バンド名の由来はとても恥ずかしくて今さら口にするわけにはいかないが、やはりそれは僕らを示す唯一無二の名前であり、そこに意味があろうと無かろうと、そんなことは関係ないのだった。
 で、世田谷ボーイズだが、最初の印象と徐々に付き合いが深くなるにつれて持ち始める印象とではまた違う。彼らは最初飛び道具オンリーのバンドかと思っていた。曲のひとつひとつがそれぞれ際だった個性を持っていて、決してドライブ中のBGMのような聴き方は出来ないほど主張をしまくっている。まったく驚きの連続で、落ち着かない。ライブでもステージ上での怪しげな踊り、シニカルで毒舌のトークは、普通にお客さんに喜んでもらおうという態度ではない。だが、それも彼らの一種の計算だったのだということを、リリース用の音源が到着し、携帯プレーヤーに入れて何度も繰り返し聴いてからだったのだ。
 世田谷ボーイズのアルバムに収録された14曲にはまったく統一感がない。と、誰もが思う。最初は。しかし、曲調が似ていないだけのことだったということが徐々に染みるように理解されてきた。曲調が曲によってバラバラでも、そこに投影されている彼らのスピリッツは一貫している。楽しさの追求。しかもその楽しさというのはTUBEが「夏だ〜」と叫んでいるような単純なものではなく、むしろ単純に「夏だ〜」と叫んでいることがいかに愚かなことなのかということを、彼ら自身が「夏だ〜」と叫んでみせることによって体現しているのだ。
 いってみれば、これはある種の「道化」である。ピエロは笑顔のメイクを施すが、その裏には悲しみが潜んでいる。だから、笑顔のメイクの目元にはしっかりと涙が描かれるのである。世田谷ボーイズの音楽もどこかそれに似ている。だが、ピエロがその永遠の脇役という立場における悲哀や非永遠性をジワジワ滲ませているのとは違い、世田谷ボーイズのそれは、戯けてみせることによって、その戯け方の哀れを体現するのである。つまり、現実の世界に多く存在する哀れな存在、しかも自分自身が哀れな生き方を送っていることにすら気付かずにいる人間たちに、早く気付けと戯けてみせるのである。
 キラキラレコードの根本にも関係する事柄だ。よく「キラキラレコードはどんなジャンルなんですか」と聞かれることがある。パンク専門レーベルなどという特化したレーベルもあったりするので、キラキラの専門はなんなんだと聞いているのだろうが、キラキラにはジャンルなんてものはない。パンクであろうがテクノであろうが、ボサノバであろうが、そしてロックンロールであっても出す。そこに通じるひとつの指針は「イイものはイイ」という実に単純な考え方なのである。
 なのに、その僕が、世田谷ボーイズのジャンルはなんなんだろうということで引っかかっていたとは。実は彼らの道化によって体現されている「愚かな人」とは、実は自分のことだったのではないかと思わされたのである。
 
 例えていいのかどうかは判らないが、この感覚はかつてユニコーンがアルバム『服部』を出した時の感じに似ている。普通のロックバンドだと思っていた彼らが出したそのアルバムは、ジャケットにジジイのアップがドーンと載っていた。当時のイチ押し曲「大迷惑」が聴きたくて買った僕は、アルバムにちりばめられた雑多な音楽と遊び感覚重視の姿勢に驚いたものだった。彼らは、ロックという音楽ジャンルを追求したのではなく、ロックという精神を音に載せただけだったのだ。それが彼らをブレイクさせ、同時期のバンドたちが沈下していく中、ユニコーンだけが確かな支持を集めた要因に他ならないのだと思っている。
 もちろん今の世田谷ボーイズを単純に当時のユニコーンと比較することが正しいとは思っていないが、その奥に秘められたエッセンス自体は通じるものがあるといえるのではないだろうか。。


キラキラレコード、大島栄二