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放課後サビシガリックシンドローム



 

タワーレコード新宿店での試聴機の写真はこちら!(2007年10月21日〜)
アーチスト:有刺鉄線
品番:KRCL-111 税抜定価:2400円 発売日:2007/10/21
ジャンル:Rock,Pop

曲目
01.
02.
03.
04.
05.
06.

あの頃、オレンジの靴
精神病グラフィティ
ミラーボール
分岐点
少年期
笑顔

07.
08.
09.
10.
11.

みそ
シアワセベル
ハンドインハンド
Feel So Free
ぼくらのうた

解説

「汗と汗と汗と、そして少しの涙」
  〜王道の青春パンクよ、理屈を裏切れ!〜

 なんといっても彼らのファーストインプレッションは「汗」だ。初めて接したのはライブ。ギター山崎のボリューム溢れた体型からくる人一倍の汗と、それを頻繁に拭う姿。ロッカーとしてそれはどうなのかという意見もあっただろうが、彼らはそれを逆に武器にする。MCがとにかく面白い。
 実際に流れる汗。よく考えればどんなバンドも汗はかく。ドラマーが上半身裸で叩いている姿なんてのも日常的な光景だといっていい。だが、そういった普通の汗が見ていて少々不快だったりするのに対して、有刺鉄線の汗は何故か快い。爽快でさえある。思えば、その違いこそが彼らのロックそのものなのではないかと感じるのだ。
 彼らの音楽は青春パンクである。その言葉は既に使い古され、ジャンル的には峠を越えたともいわれている。だから彼らももっと他の呼び方はないのかと危機感を持っているし、僕もまた新たなジャンルを示す言葉を創造したいと思っている。だが、有り体にいえばそれは青春パンクなのだ。しかも王道の。そもそもタイトルが『放課後サビシガリックシンドローム』というところから完全に青春を歌っているわけで、だからここではそれを青春パンクと呼んでみたいと思う。
 曲についても、疾走感のある楽曲も、スローなバラードもある。1曲目はライブのオープニングを想像させるようなアップテンポの『あの頃、オレンジの靴』。その勢いにのってあっという間に歌詞は畳み掛けられるのだが、しかし、そんなテンポにもかかわらず、言葉が残る。印象が強く存在する。なぜオレンジの靴なのかということも聴けば伝わってくる。そういうストレートな曲に続いて流れてくるのが『精神病グラフィティ』この曲も言葉がずんと残るのだ。残る言葉はこの曲のタイトルでもあり、同時に曲の頭からイントロもそこそこに連発される「精神病になりました」という歌詞。この歌詞、ある意味刺のある言葉であり、だからその言葉の刺々しさで敬遠されることもあるかもしれないという不安が、スタッフという立場で考えた時に頭によぎる。大丈夫だろうかと、そう思う。
 しかし、何度も聴くうちに、その精神病という言葉に込められた意味というのは一体なんだろうということを思うようになってくるのである。具体的に僕がどう何を思ったのかは敢えてここで具体的な解説は省略したい。だが、そこに描かれているのは狂気である。日常に潜む狂気。それは一般に思われるような狂気などではなく、だから別に病的なものなんかではない。だがそれを敢えて「精神病」と表現することによって、日常僕らが普通に過ごしているこの世界での出来事、それがある意味奇跡であるし、同時に不条理で、病的な狂気に埋め尽くされているということに気付かされる。大人はその狂気とうまく折り合いを付け、狂気をあたかも狂気ではないと信じることによって日常生活をなんとか過ごすことに成功している。だが、青春時代とはそんな理性が勝利するわけにはいかないのだ。心もまだ未成熟であり、同時に世界のルールも知らず、多くの見聞きするものが初めての出来事だったりする中で、間違い、驚き、失敗を繰り返す。ある意味それは正真正銘の狂気の時代なのだ。
 なんか本筋から外れていってしまったように思えるのだが、そういうことを感じることによって、この曲たちはどれもダブるミーニング、トリプルミーニングを持っているのではないかと感じるようになった。聴いていて飽きない、そんなフェイバリットなアルバムになってしまったのである。
 つまり、瞬時に耳に飛び込んでくる言葉によって心を捕まれ、その奥に潜む深さにハマっていくのだ。大人はそれをそういう感じで意味的に理解しようとするだろう。だが、青春まっただ中にいる若者たちは、そんな理屈を知らない分だけ、感覚で反応し、熱狂するのである。だからこの音楽ジャンルは青春パンクと呼ばれるのであって、多くの若者たちにこの音楽を感じてもらいたいと思うのだ。そして、「このジャンルはすでに峠を越えた」なんてさも意味ありげな理屈を振り回してしまいがちな愚かな大人たちの予測なんかを大きく裏切っていって欲しいと心から思うのである。


キラキラレコード、大島栄二