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minimo sono



 

アーチスト:minimo sono
品番:KRCL-131 税抜定価:1890円 発売日:2009.7.21
ジャンル:アンビエント

曲目
01.
02.
03.

色と泡
路地裏の猫
商店街

04.
05.
06.

おやすみなさい。
石畳
追憶

   
試聴(myspace)
(今作の収録曲と違う場合もあります)
解説

「生活のBGM」
  〜あまり知られていないアンビエントの世界〜

 アンビエントという言葉を知っている人はどのくらいいるのだろうか。minimo sonoのことに関心を持っている人は多少知識があるかもしれないが、音楽以外のところでminimo sonoのことを知り、myspaceなどでちょっと聴いてみたというだけの人には、「なんだこの曲、歌はないのか?」なんて疑問が湧くことだろう。

 インディーズをやっていて、やはり主流は歌ものロックだ。こういう書き方をするとすごく誤解されそうだが、歌があるロックバンドのデモ音源がもっともたくさん送られてくる。みんな音楽というと歌ということなのだろうか。それを特に非難する気もないし、そういう状況は実に健全だと思う。だが、音楽は歌ものでなければならないという決まりなどどこにもない。というか、歌もの以外の音楽が許されないとしたら、僕らは実にストレスの溜まる人生を送ることになるのではないだろうかとさえ思うのだ。

 例えば、映画音楽。クラシカルなBGMもロックなアレンジのノリのいい曲も、必要以上にストーリー展開を邪魔しないように、歌が入っていないインストものであることが多い。それは当然だ。何事にもTPOというものがあり、何でもどこでも自分が自分がと主張するのは所詮KYでしかない。オーケストラによるクラシック音楽もほとんどが歌などない。日本でテレビの音楽番組などを見るだけが音楽的背景であれば、やはりインストは取っ付きにくいものかもしれないが、実はそこには深い世界が存在するということも知っていて損はないだろう。

 かく言う僕も、そんなに詳しい方ではないのかもしれない。最初にアンビエントという言葉を聞いたのはもう10年以上も前のことだ。当時キラキラにはpoissons d'avrilというアーチストがいて、彼が『quiet dreams』というアルバムをリリースしたのだ。それがアンビエントという種類の音楽だということを彼から知らされ、「クラブではビートの利いた音楽で激しく踊ったりすると、当然のように疲れる。疲れたから帰るというのではなく、ちょっと休憩してから再び踊りたいわけで、そういう人のために休めるスペースなどが設置されているクラブも多く、そういうところで流されているのがアンビエントなんだよ」なんて説明を受けた。実にわかりやすかった。言葉そのまま翻訳すると環境音楽ということになり、それだと実験的なものまで含んで広すぎる概念となって、わかりにくくなるし、実際僕もそれまではアンビエントのことを理解していなかったと思う。つまり、実験的な音楽の存在は沢山あって、そういう音楽を「自分たちの気まぐれで変な音楽をやって芸術家気取りでいる、そんな人たちの音楽だと思っていた。だが、そういう音楽が必要とされているシーンがあるということを知って、僕の見方は急激に変わったのである。

 今回のminimo sonoの6曲が果たしてそういうクラブシーンの休憩のために作られたものと言えるのだろうか。いや、それはまったく違うと思う。そもそもクラブシーンも変化を繰り返し、アンビエントミュージックも変化を繰り返した。昨今の大型CDショップに行くと「エレクトロニカ」というコーナーが幅を利かせている。だから僕はminimo sonoの音楽をアンビエントというよりも、エレクトロニカと言った方がいいのではないかとも思っている。なぜなら、アンビエントはエレクトロニカの一種というカテゴライズが現在は一般的だからだ。しかし現在のエレクトロニカというものを考える時に、世界的潮流はさておき、日本ではPerfumeなどのサウンドがどうしても前面に出てきていて、多様なエレクトロニカもすべてそれと同じというような見られ方をされがちだったりするので、それだったらアンビエントという言葉で堂々と打ち出していった方が、結局は正しい道のような気がするのだ。

 正直に言うと、僕はやはりロックの人だ。RCサクセションが大好きだった。そんな人である。古今東西のアンビエントミュージックの中でのminimo sonoのポジションや存在意義などを語るにはまだまだ知識が足りないと思う。だから、僕は素直にこのCDを聴いてみる以外に方法はないのだろうと思う。そうして朝から8回ほど聴いている。仕事をしながらも聴く。そして当然、他のことをしたりしないでスピーカーの前で目を閉じて聴く。そうして感じたことを素直に話したい。言えるのは、飽きのこない音楽だということ。これなら踊った後の休憩にはピッタリだ。いや、クラブで踊ったりしない僕がそれを言うのはなんかおかしいな。でも、飽きのこない音楽であることは間違いない。多くのデモを聴いて、自社の商品も聴いて、RCなんかの好きな音楽も聴いて、好きなアーチストの新作が意外につまらなくて2回聴いて終わりということもしばしばだ。そんな僕にも、これはずっと聴いていられる。そんな音楽だと思う。6曲あるが、仕事をしながら流していると途中でトラックが次に移ったことにさえ気付かないくらい、音楽が空気のように、風景の一部に溶け込んでいる。2曲目の1分過ぎのあたりで1度ブレイクする。そこで「あれ、次の曲になったか」という錯覚を覚える。だがそれは同じ曲なのであって、minimo sono自身がそういう意図を持っていたかどうかはともかく、何回も聴いているのにその度ごとに新たな発見をしてしまう。クラシック音楽のようなインストだったら、主旋律があって、ボーカルと同じくらいの強い存在感から逃れることは出来ない。だが、この音楽はそうではない。逃げようという気さえ起こらないくらいに、ただそこにあって、鳴っているのである。

 音楽が歌ものであるという固定観念に支配されている人は一種のカルチャーショックを持つだろう。だが、だからこそそういう人に真っ先に聴いてもらいたいと思うのだ。なぜなら、そういう人の人生はBGMのない映画のようなものであったに違いなく、そういう人の生活の一部にこういう静かな音を流すことによって、人生そのものに色や潤いを付け加えることが出来るからだ。


キラキラレコード、大島栄二