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タイムマシン



アーチスト:天空快
品番:KRDL-23 税抜定価:1200円 発売日:2007/3/21
ジャンル:アコースティックロック

曲目
01.
02.
03.
タイムマシン (PV)
モノクロ
心の救急車

 
※3曲目の『心の救急車』はブルーハーツの曲をカバーしています。
解説
「天空快の広がる世界」
  〜〜時を超え、視覚を超え、心の中へ〜〜

 天空快とここ数年付き合ってきて、思うのは彼がどんどんプロのアーチストになっていっているということである。
 プロとは何か。その定義は非常に難しく、例えばそれで生計を立てているというのがプロだとしたら、天空快はまだまだプロとは言えない。また、メジャーデビューしているというのがプロだとしたら、やはり天空快はプロとは言えない。では、何故僕が天空快がプロになっていっていると言うのかというと、彼の音楽制作のありようが、プロそのものだと思うということである。
 多くのアマチュアバンドは、リリース予定もないところで勝手に作詞作曲をする。そしてライブハウスでライブをし、知らない間に曲が増える。そうやって、レーベルと出会った時にはアルバムを2〜3枚出せるくらいの曲数を持っているのが普通だ。
 だから最初はそれでいいだろう。その中からチョイスしてファーストアルバムをリリースすればいいのだ。しかしリリースを重ねる度に、持っていた曲数は尽きてくるし、多少なりとも売れれば次のリリースを企画することになり、その企画のスピードと楽曲制作のスピードとのいたちごっこになってくるのは必然なのである。
 そういう状況になってきた時、選択肢はたった2つだ。頑張って楽曲を作るか、それともリリースをストップするか。アーチストの立場として「楽曲はインスピレーションが湧かないと出来るもんじゃない」とか「スケジュールに追われて曲を作るなんてアートじゃない」とかいう気持ちがあったりするのは理解出来ないでもない。だが、そのタイミングで曲を作ることを期待されるというのは、実はとても幸せで恵まれていることなのである。売れないミュージシャンの曲など誰も求めやしない。その恵まれた状況を活かすか無駄にするか、そう考えると選ぶべき道は自ずと決まってくる。
 そうやってスケジュールに追われるように作品を作る。思うのだが、売れっ子漫画家は常にそうやっている。売れてない作家はやたら細かいところにペンを入れるが、売れてる人はその余裕もない。だが、本当に必要な描写と無駄な描写をちゃんと把握し、無駄な描写に時間を使わない。それができるかどうかが、クオリティを維持し続けられるかの鍵なのである。それが出来なければ、せっかくの連載も途端に終わる。ミュージシャンもまた、同じなのではないかと思う。スケジュールに追われて潰れる才能なんて、最初から無いも同然なのだと、厳しいようだが思うのである。
 今回のマキシシングルもそういう時間軸の中で生み出された楽曲である。彼に作為を施す余裕があったとは思えない。ギリギリのスケジュールの中で生み出された2曲と、かねてから話をしていたカバー曲。だがそこにはまるで謀ったかのようなテーマ性が現出していたのである。
 それは、現実からの飛躍である。タイムマシンでは今とは違う時間へと飛躍し、モノクロでは色のない世界へと飛躍し、そしてカバーだから天空快の創作が及ばないはずの心の救急車では、一番近いようで果てしなく遠い心の中へと飛躍している。そうやって今この現実とは離れた世界を歌うことによって天空快が実現したのは、結局、人間という捕らえようのない生命のエッセンスを表現することだった。
 もともと天空快が初めてキラキラレコードにデモを送ってきた時にあった曲の世界は不可思議で不条理なものだった。だが、それは多くのアマチュアミュージシャンの作品にありがちな、捻ねくれることによって生み出される不条理であって、普通の一般的な人たちに通用するものではなかった。そういう表現は、捻るという形での直球であるから、意外と簡単なものなのである。だから非常に沢山のデモがそういう形となって送られてくる。だが、そこからどう変体していけるのかが、自己満足とアーチストとの分かれ目であり、そこを普遍につなげられるかが、大切なのである。天空快は、そこを今超えようとしているのだと思う。結果的なのかもしれないが、売れるということと正面から対峙し、同時にスケジュールに追われるように曲を作り続けることによって、無駄なものをすべて削ぎ落とし、大切なものだけを言葉にし、曲という形に昇華させることに成功しようとしているのだ。
 もちろん、まだまだ道は半ばに過ぎない。彼の音楽が本当に完成するまでにはまだまだ長い努力の道程が待っているはずである。だがそれはまだまだ彼の音楽が未完成でダメだということを意味しているのではない。そうではなく、ゴールを目指す資格という、ほとんどの人が到達することさえない境地に、彼が今近付いているということに他ならないのだ。

キラキラレコード、大島栄二