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アーチスト:Hanae
品番:KRDL-30 税抜定価:1200円
発売日:2009/6/21  
ジャンル:ポップ

曲目
01.
02.
03.
レター
凛風
DRIVE
 

解説
「小さな唄は風のように」
  〜〜実は肝っ玉かーちゃんのしたたかな情熱〜〜

 音楽をやるのに資格はあるのだろうか。

 普通一般の常識でいえば、10代半ばから20代前半までのリスナーがCDのメイン購入層であり、そういう人向けの音楽であり、プレイヤーであることが要求される。特に新人はそうだ。だがそういう「常識」というのがあまり好きではない。自身40代半ばのオッサンであり、自分にとっては普通に売り出されている「新人」たちの言葉が、ほとんど響いてこないからだ。そりゃそうだろう。20歳そこそこの若者が歌う「人生」に深みを感じられるはずがない。何言ってんだ、小僧。ってなもんである。

 そこで、キラキラレコードではこの5年以上、オッサンのミュージシャンたちを応援している。応援しているといってもまだまだリリースをする程度のことでしかないが、そういう活動を通じて、彼らの音楽が活性していって欲しいし、そういう音楽を望んでいる人たちにとって価値ある音を届けたいという思いがあるのである。

 そういう中、Hanaeからのデモが届いた。彼女は一児の母である。バツイチ。しかも「常識」からすれば若くない。最初はちょっとひいた。時々いるのだ。勘違いしている人というのが。Hanaeもそうなのかと思った。でも、音楽というのは聴けば判る。スポーツのように明確な数字で結論が出るわけではないが、それでも聴けば判るのだ。彼女はきちんと音楽に取り組んできた人だ。そういう人の音楽は基本的に積極的に出していきたい。もちろんそう簡単であるはずがない。いろいろな条件も含めて、彼女には乗り越えなければいけないこともある。だがそれが出来るかどうかも彼女自身が本気で音楽に向き合っているのかが問われるわけであり、ここまでは乗り越えてきているし、今後も目の前に迫ってくるいくつもの壁に向かって怯むことなくぶつかっていって欲しいと思う。

 彼女の歌は、とても優しい。だが、単に優しいだけではなく、芯の強さを感じる。今回のタイトル曲でもあるレター。これは今は会うことの出来ない誰かに届ける歌だ。その「誰か」が誰なのかを特定はしていない。昔の恋人なのかもしれないし、その人が今も生きているのか、それとももうこの世にはいない人なのか、それもこちらの想像に委ねられている。その辺がぼやけているから、リスナーは自分の状況や経験に応じて想像することが許されるのだ。ある程度の年齢を重ねれば出会いも別れも経験しているものだろう。この歌の中で主人公は「誰か」への想いを断ち切れずにいて、だがその想いを断つことが必要だとも思って、それで逡巡するのだ。大人としては気持ちの切り替えが必要なことは当然のように理解できる。だが、理解を超えた感情というものが、人間にはある。実に複雑な感情によって人間は出来ているのである。その複雑な感情のせいで人生を棒に振ることがあったとしても、それでも人は感情を無視して生きることは出来ないのだ。そういうことを若造に歌うことは難しいし、歌ったとしても共感することは難しい。Hanaeのように人生の波の中をくぐり抜けてきたから、それが自然に言葉になって出てくるし、こちらも素直にうなづけるのではないだろうか。

 僕は思った。この音楽には勝算があると。オッサンの歌を求める人は、オッサンでもまだ夢に向かって頑張れるんだという希望を求める人である。同じように、Hanaeの歌を求める人は、結婚しても子供が出来てもまだまだ夢に向けて頑張れるんだという人だと思う。多くの可能性を疑うことなく信じられる若い時代。それは可能性が広すぎるが故に具体的なものをイメージすることは実は難しい。しかし年齢や経験を重ねると、残念なことに自分にとってある部分の可能性が失われることを実感せざるを得ない。あれも出来ない、これも出来ないと思うようになる。小学生の文集で「将来の夢はプロ野球選手」と書いた人は少なくないだろう。しかしながら、それを実現できている人などはごく一部だし、その他の大多数の人はチャレンジすることさえいつの間にか忘れてしまっている。それが諦めるということだ。だが、まだ諦めなくていいよという気持ちにさせてくれる存在がいれば、そこには共感したくなるのだ。たとえそれが単なる妄想に過ぎなかったとしても。46歳の工藤公康が勝ち星を挙げたというと、まるで自分のことのように嬉しくなる。いや、今さら僕がプロ野球選手になれるわけはないし、そんな夢を再度持とうなんてことでもないのだが、それでもやはり嬉しくなってしまうのだ。

 Hanaeは、まだまだ夢を叶える途中に過ぎない。インディーズデビューくらいで夢が叶ったなんて言っている場合ではない。だが、それでも大きな一歩を前に進めたことは確かなことだし、彼女の前進は、その先にある大きな夢に向かったチャレンジの過程でもある。そんな彼女の活動をリアルタイムで見ることは、ある意味ハラハラドキドキの体験でもあり、多くの子育て中のお母さんたちからの共感を集めることだろうと思う。もちろんそれは、彼女の活動や姿勢、そしてなにより音楽そのものがどう評価されるのかということにかかっているのだけれども。

キラキラレコード、大島栄二